4 接続針金のピッチとガビオン再考。
■接続用針金の巻きピッチについて。
試作品のピッチは12センチです。
2枚のネットを、スクリュー針金が回転しながら快調に接続していきます。
ピッチ間隔が長い分、間延びして頼りない感じになってしまいました。
試しに針金を4センチピッチで作ってみましたが、13ミリの水道塩ビ管に
巻くのはけっこう大変でした。塩ビ管から外し、ワイヤメッシュを接続してみましたが、
ピッチが狭い分、抵抗が大きくなってスムーズに巻きついてくれません。
(でも4センチぐらいが見た目も格好いいですね)
本番では13ミリの塩ビ管に10センチピッチでマジックでガイドラインを書きました。
画像はマジックとテープでごちゃごちゃになった塩ビ管です。
※忘れる前に書いておきますが針金も錆に強いステンレスを使った方がいいと思います。
■試作品は思ったより簡単に出来上がりました。
線径が3.2ミリなので頼りなさそうです。
■そもそも、ガビオンとは何だ?
子供のころ、川遊びをしていた場所に、筒状の蛇篭が並んでいました。
太陽熱で熱くなった蛇籠の針金を素足で踏むと「アチチチ」なんてね・・
網の隙間に小魚が泳いでいたのを思い出しました。
gabionとはイタリア語の「gabbione」からきており、大きなカゴという意味です。
数千年前のエジプト。ナイル川の氾濫後の修復方法としては、壊れた土手
に石を投げ入れただけだったでしょう。しかし次の洪水でその石も流さ
れてしまいます。その繰り返しの中、単体の石だから流されるので「石を大
きくまとめればどうでしょう?」という案が出たのだと思います。
中国でも同じように考える人がいました。四川省の都江堰に紀元前3世紀
ごろの構造に蛇籠らしい構造が確認できるらしいです。
イタリアのミラノ。レオナルド・ダ・ヴィンチがこの有効性を知り、スフォルツェ
スコ城の基礎にこの工法を取り入れたとあります。
また、戦争でも使われています。ネット(ケージ)を運び、その場所にある石や土を詰め込めば強固な壁が
できてしまうので、防禦壁として使ったそうです。
■日本では西暦400~600年に中国からその工法が伝わってきたらしいです。
余談ですが1754年の薩摩藩による木曽三川の難工事にも数千の蛇籠が
使われたとあります。 幕府による薩摩藩の弱体化を狙った工事で宝暦治水事件です。
薩摩藩は耐えに耐えて工事を完成させました。
徳川憎しの思いは、代々語り継がれて幕末を迎えることになります。
■明治期になり竹製の蛇籠は針金製に変わってきます。
ガビオンというゴツイ塊をアートデザインとして観察した人物は誰だっ
たのでしょうね。きょうは、そんなことを想いながら書いてみました。
この記事の参考画像は、ページの【参考画像-4】をご覧ください。